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名木田恵子先生のエッセイ
今月のラッキーアイテム

名木田恵子先生のエッセイ
7月 星を食べる
7月7日の七夕(たなばた)に子供のころから思い入れがあるのは、いつも祖母が
「私は七夕の前日に生まれた!」と自慢していたからかもしれません。(前日なのに!)
祖母は7月6日生まれだからといって“織姫(おりひめ)さま”のような美人(?)で
あったわけではないのですが(おばあちゃま、ごめんね)、
やはり七夕にこだわっていたのは、“織姫さまのいとこ”くらいの気持ちではいたのでしょう。
それとも生涯(しょうがい)秘密の“彦星(ひこぼし)さま”がいたのでしょうか……
なんてね……思ってしまうのは、その祖母が“星にかえった日”が
94歳になったばかりの次の日、7月7日、七夕だったのです。

そんなわけで、わが家では七夕には欠かさず笹(ささ)かざりを作って、
願いごとを短冊(たんざく)に記(しる)すのが行事の一つで、それは今でもつづいています。
七夕が近くなると、“笹”をいただきに知人の家に行くのが、
子供のころのわたしの役目でした。
いつか庭に笹を植えようと思いながら、いまだに娘の幼なじみの家に
笹をめぐんでもらいに行っています。娘たちも大きくなってあまり会うこともなくなったので、
それこそ年に一度会いに行き、「七夕が近くなると思い出しているのよ」といわれています。
今年も笹をいただき、折り紙であみかざり(天の川)や吹き流しを作って(これは簡単!
折って切るだけ)、<千代子おばの七夕箱>を開けました。
母の姉、今年92歳になる千代子おばは器用な人で、折り紙と習字が上手なのです。
千代子おばが元気なころは、不器用なわたしのために、折り紙でさまざまな笹かざりを
作ってくれ、箱にいっぱいためて、毎年送ってくれていました。
そのなかには、きれいな字で<みんなが元気でいますように>という短冊も
たくさん入っていました。
千代子おばが折り紙を折る元気がなくなってもう何年もたちますが、
わたしたちの新作もあるので、<千代子おばの七夕箱>の笹かざりは
まだ何年ももちそうです。

みんなは短冊にどんな願いごとを書くのでしょうか。
七夕のころ、スーパーのイベントに笹に願いごとの短冊をかざる……というコーナーが
あって、子供の幼い字で<アイドルになれますように>とか<**くん大すき!>なんて
短冊がゆれていて、つい<のぞき見>をしてほほえんでしました。
願いがかなえられればいいね!
わたしも毎年、ささやかな願いごとを書いてかざります。
小さなころは<“お星さま”だけがわたしの願いごとを知っている>と信じて書いたのに、
母や祖母も“わたしの願いごと”を知っていて、びっくりしたものです。
(だれもが短冊を読めるという簡単な事実を知るのがとてもおそかった……!)

『バースディクラブ』のてまりの願いごとはなんでしょう?
ぜったい<まりもがみつかりますように>……よ、ねっ!
そして、母・麻里子(まりこ)はきっと……
<まりもが幸せでいますように!>。
この世でだれかが自分の幸せを願ってくれている……
そんな思いで今、『バースディクラブ』の第2話を
書いているのよ! 『バースディクラブ』のメンバーたちが
どんなことに出会うのか、わくわくしながら……楽しみに待っていてね!

いつも空で見守ってくれているような星たち……。
以前書いた『星のかけら』(これも
青い鳥文庫よ!)という物語にも、
星をみつめる場面がでてきます。
主人公の麻記(まき)が
牧人(まきと)とかわす会話……
(わたしの好きなシーンなの)。

「星のかけら、か。」
ふっと、牧人がつぶやいた。
「えっ?」
「人間て星と同じ成分でできてるらしいんだって。」
「星と?」
「……おかあさんが何かで読んでいってたんだ、人間が星と同じものでできているなら、
星から見たら自分たちも星みたいにキラキラ光って見えるのかもね、って……。」

……これは科学的にも事実らしいの。
わたしも“映画”の台詞(せりふ)と“免疫(めんえき)学”の本で知りました。
また、ちょうどこの物語を書いている途中、担当編集者の別名“白猫さん”がぐうぜん
見つけてくれた、サイエンスライターのマーカス・チャウン著『僕らは星のかけら』(無名舎)
というむずかしい内容の学術書にも、そのことが出てきました。
宇宙はほんとうに不思議に満ちています!

そうそう、遠い国で学んでいた娘から<星を食べたい!>というメールが
きたことがあります。小さいころのことが異国にいてなつかしくなったのでしょうね。
さっそく、<食べる星>を送りました。

金平糖(こんぺいとう)のことよ!

今月のバースディ・アイテム
7月 月の和名
カレンダーによっては、日本の旧暦(きゅうれき)の呼び名が
書いてあるかもしれないわね。その呼び名の美しいこと!
異名(いみょう)をふくめて自分が生まれた月の名前もラッキーアイテムの一つに!


  旧暦名 異名
1月 睦月(むつき) 祝月(いわいづき)
2月 如月(きさらぎ) 雪消月(ゆききえつき)
3月 弥生(やよい) 雛月(ひいなつき)
4月 卯月(うづき) 花残月(はなのこりづき)
5月 皐月(さつき) 五月雨月(さみだれづき)
6月 水無月(みなづき) 風待月(かぜまちづき)
7月 文月(ふみづき) 女郎花月(おみなえしづき)
8月 葉月(はづき) 木染月(こぞめつき)
9月 長月(ながつき) 菊咲月(きくさきづき)
10月 神無月(かんなづき) 時雨月(しぐれづき)
11月 霜月(しもつき) 雪待月(ゆきまちづき)
12月 師走(しわす) 限月(かぎりのつき)

 7月は旧暦では“文月”。その言葉の由来(ゆらい)は、
七夕に詩歌(しいか)を献(けん)じたりする習慣から生まれたらしいの。
中国から伝わった七夕の伝説はだれもが知っていると思うので簡単な要約を。

 天帝の娘、織女(しょくじょ)(織姫)はそれはそれは美しい娘でしたが、
年ごろになっても機織(はたお)りにしか興味がなく、心配した父親の天帝は、
牽牛(けんぎゅう)(彦星)という牛飼いの青年と結婚させました。
ひと目で恋に落ちたふたりは、おたがいの仕事を忘れてしまいました。
そのことに怒った天帝はふたりを引きはなしてしまったのです。
(勝手な父親ね! プンプン!)
会えるのは年に一度、7月7日の日だけ。

 けれど、雨が降るとふたりをへだてた天の川をわたることができません……。
でも、そんなふたりのなげきに心打たれたカササギたちが
雨の夜にはその翼(つばさ)を広げ、橋になってくれるのです。
夏の日、夜空を見上げれば、
天の川にへだてられたベガ(織姫星)とアルタイル(彦星)がみられるでしょう。



名木田恵子からあなたへ ポエムの贈り物
バックナンバー
名木田恵子からあなたへ ポエムの贈り物 —— 2007年4月 「ノスタルジア」
—— 2007年5月 「かざぐるま」
—— 2007年6月 「ヴァイオレット・ジューン」
—— 2007年7月 「おしゃれな海」
—— 2007年8月 「足あと」
—— 2007年9月 「ありがとう」
—— 2007年10月 「夕焼けのはなしをしよう」
—— 2007年11月 「十一月」
—— 2007年12月 「おめでたい詩」
—— 2008年1月 「還ろう」
—— 2008年2月 「バレンタインディ」
—— 2008年3月 「忘れてしまった日」
—— 2008年4月 「花のゆくえ」
—— 2008年5月 「みんな知っている」
—— 2008年6月 「雨の籠」
—— 2008年7月 「ぴ・あ・の」
—— 2008年8月 「海の言葉」
—— 2008年9月 「足音」

名木田恵子先生のエッセイ
バックナンバー
名木田恵子先生のエッセイ —— 2006年4月 バースディクラブの“ハッピーバースディ!”
—— 2006年5月 五月は素足で
—— 2006年6月 空の如雨露(じょうろ)
—— 2006年7月 星を食べる
—— 2006年9月 9月のドキドキ
—— 2006年10月 地球を虫めがねでのぞいてみたら……
—— 2006年11月 なつかしき☆おきゃーま!
—— 2006年12月 グッユール!
—— 2007年1月 真っ白なページ
—— 2007年2月 天空の城
—— 2007年3月 家族たち

今月のバースディ・アイテム
バックナンバー
今月のラッキーアイテム —— 2006年4月 <誕生石>特集
—— 2006年5月 星座のふしぎ
—— 2006年6月 バースディカップ
—— 2006年7月 月の和名
—— 2006年8月 バースディパーティーへの招待状
—— 2006年9月 英名月のミステリー
—— 2006年10月 季語
—— 2006年11月 偉人・歴史上の人物の誕生日
—— 2006年12月 幸せを呼ぶケーキ
—— 2007年1月 十二支(じゅうにし)
—— 2007年2月 ハート
—— 2007年3月 風
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