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2008年9月01日更新
この本が好き!

この本が好き! 第6回
人間の闇と光
『地べたっこさま』『ドリトル先生アフリカゆき』
青い鳥文庫編集部 ぽにゃらT

こんにちは! この6月に青い鳥文庫編集部の
仲間にくわわりました、ぽにゃらTです。
よろしくお願いします!

なやみになやんでえらんだ本は、私が「衝撃(しょうげき)を
受けた」一冊、『地(じ)べたっこさま』。

小学校高学年のころのわたしは、近所の本屋さんへいくと、
講談社文庫のたなへ直行!
そう、いま、青い鳥文庫のたなへ直行してくれている
みなさんみたいに。(その当時、青い鳥文庫はまだ創刊されて
いませんでした。)
自分でえらんだ一冊なんですが、読みはじめてびっくり。
語り口はやわらかく。でも中身は。

保身(ほしん)、裏切り、欲、ずるさ……。
この短編集には、人間の「闇(やみ)」の部分、
みにくい部分がえがかれています。

どれも本当にあった話であるかのような迫力。
しかも、しいたげる側の人間がほろびるとはかぎらない、
という甘くない結末。

一回目に読んだのは電車の中。
怒りと悲しみでボロボロとなみだが。
それでも先を読まずにはいられなかったことをおぼえています。

自分がひどい目にあいながらも、だれかをまもろう、
しあわせにしようとする、優しさにあふれている作品もあり、
その澄んだ心がまた、切なさを倍増させて……
ずしりと胸にひびく一冊です。

お話に登場する「しいたげられる人(や生き物)」のほとんどが
「孤独(こどく)」をかかえて生きています。
まもってくれる人、信じられる人、つながっている人がいない。
それゆえ、犠牲者(ぎせいしゃ)となってしまう悲しさ。
そしてそもそも、だれかを犠牲にしなければ生きられない
過酷(かこく)な状況の悲しさ。
さらに、むかしの話のようで、よく考えてみると、
いまの話でもあるところが、この本のすごさだと思います。

ざんねんながら、いまは絶版になっています。
興味を持ってくださった方は、学校やご近所の図書館で
さがしてみてくださいね。

手に入れることがむずかしい本をご紹介するだけでは
もうしわけないので、前野メリーさんからOKをいただき、
今回はとくべつに、入手可能な中から、
「大好きな1冊」もご紹介します。
『地べたっこさま』とは対照的に、
愛情あふれる主人公が大活躍するお話です。

『ドリトル先生アフリカゆき』。

こちらは、春のひざしのような、
読むとぽかぽか心があたたかくなる作品です。

ドリトル先生は、動物と話ができる、
世界でいちばん有名な動物のお医者さんです。
それだけで、わたしはこのお話に夢中になってしまったのですが、
注意ぶかく読んでみると、話ができるだけじゃなくて、
どの動物の話にもよ〜く耳をかたむけているんです。
そして、それぞれの動物の能力を信じ、
敬意(けいい)をはらいます。
だって、先生は動物が大好きだから!

先生の魅力はそれだけではありません。

はらがすわっていて、たいていのことには動じません。
こまっている動物のためならば、
船に乗ってアフリカへもいってしまう行動力。
数々の困難は、知恵をしぼって平和な方法で切りぬけます。
ドリトル先生は、まさに大人(たいじん)!

でもね、カッコイイだけのヒーローとはちょっとちがう。
見た目はぽっちゃり、つぶらなひとみ。
お金もうけに興味がなくて、すぐびんぼうになっちゃうから
いっしょに暮らす動物たちは心配になって
せっせと先生の世話をやくことになるんです。
じつはこのちょっとぬけているところが
最大の魅力かもしれないですね。

うっかり読みはじめると、全12巻を
いっきに読みたくなることまちがいなしのおもしろさです。
これからお読みになる方、かくごして、どうぞ。

『地べたっこさま』
さねとうあきら/作
福田清人/編 
梅田俊作/絵
講談社文庫(現在絶版)

『ドリトル先生アフリカゆき』
ヒュー・ロフティング/作・絵
井伏鱒二/訳
岩波書店

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