• ファンクラブ通信
  • 読者はがきより
  • ためし読み
  • 今月の新刊
  • 本を探す
  • お知らせ
  • 編集部のお部屋

2008年10月01日更新
この本が好き!

この本が好き! 第8回
ありのままに色美しく『クレヨン王国』
青い鳥文庫サイト担当 EGU
(株式会社シグレスト)

青い鳥文庫編集部のメリーさんからとつぜんの電話。
「『この本が好き』の原稿書いてみませんかー?」
って、いきなりすぎますね。メリーさん……。

でもでも、
原稿を書かせてもらえることがすごくうれしかったです。
自分には青い鳥文庫に思い出深い本があるのです。
それは『クレヨン王国』!!

その中から1冊だけということで、
『クレヨン王国 新十二か月の旅』
をとりあげてお話ししたいと思います。

 

自分が小学生のころは国語が大きらいで、
教科書に出てくるむずかしい物語が好きになれず、
本を読むなら絵本かまんがでした。

そんな自分が、なぜかは正確に思いだせないのですが、
この『クレヨン王国 新十二か月の旅』を
買ってきたのです。

おこづかいでまんがを買うとき、
表紙を見て気に入った本を買うくせがあったので、
この表紙にえがかれたカワイイ野菜キャラクターと、
『クレヨン王国』というファンタジックなタイトルに
ひかれて、まんがとまちがえて購入してしまったのです。
(青い鳥文庫ってコミックスとおなじ大きさですしね。)

家で本をひらいて、小説だったことにびっくりし、
しかもこの本が1巻ものではなく
シリーズの続編であることに愕然(がくぜん)とし、
最初は本だなにそのまましまいました。

だけどしばらくたってから、
まんがを本だなにかたづけるたびに目に入る
背表紙の『クレヨン王国』という文字。
「どんな王国なのだろう……。」と気になって
ついに読みはじめました。

 

物語はシルバー王妃の旅のお話。

前作で悪いくせを直し、欠点がなくなった、
もうしぶんのないりっぱなシルバー王妃。
けれど、りっぱになればなるほど、国民の人気は落ちる一方。
王妃もりっぱになるために、じぶんをおさえた結果、
元気がなくなってしまったのです。
心配したサンタクロースが王妃を元気づけるために
里帰りさせますが、そこで「一年牢(いちねんろう)」とよばれる
入ったら出られないブラックホールに落ちてしまいます。

12の月の橋を渡り、年の輪をつなぐことができれば、もとの世界へもどれる――。
目をさました王妃は、そこで出会った12の野菜たちと旅をはじめます。

 

この作品、登場キャラクターがとても多くて、にぎやか!

スーツ姿の、いつもあわてている、紫ナスのソソソナス。
おこりんぼうのトマトの主婦、トマトマト。
人ぎらいな、にんじんのニンジッピ。
などなど、それぞれ短所を持った12の野菜たち。

旅の先々で出会う、温泉に入る雪だるま、消しゴム猿の先生、
海賊竜大王、うどん国大使のベーツル公使。
おにぎり王国とハンバーガー王国などなど、
ここでは書ききれません!

小学生の時に読んだ正直な感想としては、
ストーリーはよくわからなかったけど、
このたくさん登場するキャラクターが気に入って、
本を売らずに、本だなにしまっておくことにしました。


ノビルジャー、キャーベッタ
ゴマータ、トマトマト

 

それから数年たったある日――。

幼稚園児のいちばん下の妹が、テレビでこの本にそっくりなアニメを見ていることに気づきました。
(「夢のクレヨン王国」というアニメでした。)
スーツ姿のナス、イヤミなネギ、じまん話のとうもろこし、やる気のないホウレンソウ。

「あれあれ……この野菜キャラたち、知ってる気がする……。」
と、本だなをさがして、ふたたび『クレヨン王国 新十二か月の旅』を手にとりました。
魅力的なキャラクターが好きだったので、すぐに思いだせたのです。

あらためて読んでみると、ストーリーはもちろん、1月の旅、2月の旅……と、
12か月に渡ってそれぞれの景色や行事がえがかれていることに気づきました。
文章を読んで情景が思いうかぶというのが新鮮で、文学ってこういうものかと、
国語はきらいだけど物語を読むのは悪くない、と思いました。

アニメと登場キャラがちがっていたことで、この本が続編モノだということを思いだして、
1作目から読んでみようと本屋さんへいき、『クレヨン王国の十二か月』を買いました。
シルバー王妃が12の悪いくせを直す旅のお話。
これもとてもすてきなお話で、読んでいてしあわせな気持ちになれる「クレヨン王国」シリーズに
どっぷりハマッてしまったのでした。

 

そしてまた大学生のときに、
『クレヨン王国 新十二か月の旅』を読む機会があったのですが、
そこで新しい発見をしたのをおぼえています。

9月の旅のお月見パーティーで出てくるすてきな歌。

『この花も その花も ありのままに 色美しく
 あの人も どの人も ありのままに 心やさしく……。』

シルバー王妃が自分の悪いところを押しころして、
自分らしさを失っていたときに、
「ありのままの自分でいいんだ。」と気づくシーンです。

短所だらけの野菜もきらいじゃない。
短所も考え方ひとつで、それは長所になり、個性になる。
自分はありのまま、自分らしくすごせばよいと共感した当時、
すごく感動したものです。

 

原稿を書く話を受けて、あらためて読みなおしましたが、
やっぱりいまも色あざやかで、すてきな作品だと思いました。

また、はなやかなだけではなく、大人になってわかる皮肉(ひにく)な要素も
じつはけっこうふくまれていることに気づき、
また数年後に読んだら、こんどはなにに気づくのだろうかと思いながら、
この原稿を書いています。

 

この物語の中にえがかれている12か月の季節のうつりかわりを感じ、
多くのキャラクターたちで魅了され、
シルバー王妃の旅のストーリーにドキドキし、
すてきな詩がたくさんつまっている、
なんともボリュームたっぷりで色あざやかな、すてきな本だと思います。

ホーレソレ、トモロコフスキー
ネギック


トーフモン、ウメケロ

というわけで、またシリーズを読みなおそうかと思う今日このごろ。
ほんとうに好きだな〜って、われながらあらためて思いました。

 

この本が好き! バックナンバー

HOMEへ戻る