


はじめまして。
現在刊行中の『獣の奏者』を担当している、紙魚です。
わたしの大好きな本は、
絵本『あおくんときいろちゃん』です。
最初に読んだのは、幼稚園生のとき。
とびきりこの絵本が好きで
一日に何回も何回も、しつこいほど読んでいました。
なかよしの、あおくんときいろちゃんが、
まちでばったりあって、
あんまりうれしいものだから、
みどりになってしまいます。
けれども、みどりいろになってしまった二人は、
おうちに帰っても、
お父さんとお母さんにわかってもらえません。
「うちの あおくんじゃないよ」
「うちの きいろちゃんじゃないよ」
と言われる場面は、
何度通り過ぎても、そのたびに悲しくて。
絵柄もシンプルで、あらすじもシンプルで、
なのに、でこぼこな道のりをやっとこさ歩んだような
気分になります。
じつは、小学2年生のとき、
この絵本をクラスの学級文庫に
持っていったことがあります。
クラスの男子から、
「えー、おまえ、まだ絵本なんか読んでるの!」
とバカにされてしまったのですが、
確かに、本棚に並んでいるほかの本は、
長い文章が主体の、大人びた本ばかりでした。
でも、今でも、この絵本をひらくと、
そのつど、あおくんときいろちゃんの、
悲しい気持ち、うれしい気持ちがわきあがります。
子どものときに感じていたのと同じ気持ちです。
いやもしかしたら、あの頃よりもちょっとだけ大人になった分、
その分だけ、ちがうことも感じているかもしれません。
1冊の好きな本を、
長年にわたって、くりかえしくりかえし読み続けていくと、
それが自然と、「自分を読む」ことに
つながっていったりします。
その時々の状況に合わせて、
自分がこんなことを感じるようになったんだと
気づかせてくれることがあるのです。
私にとって、『あおくんときいろちゃん』は、
そんな本です。

『あおくんときいろちゃん』
レオ・レオーニ/作
藤田圭雄/訳
至光社