


みなさん、はじめまして。
わたしは、作家さん、イラストレーターさん、編集さんが
作りあげた作品を、みなさんに楽しんでもらえるよう印刷し、
本にする仕事をしています。
わたしがえらんだ一冊は『しあわせの王子』。
小学生のころ、絵本で読みました。
ある町に王子様の像が立っています。
その像は金や宝石で出来ており、町の人たちはこの豪華で
きれいな像を見て、「しあわせ」そのものだと思っています。
その王子の像の前を、旅の途中のツバメが通りかかります。
だれの目から見てもしあわせにしか見えなかった王子が
ツバメに頼んだことは、自分の豪華な体の一部を、
貧しい人たちに届けてほしいということでした。
なんでこの一冊をえらんだのか。
たぶん読み終えたとき、当時のわたしが感じたことのない
気持ちになったからだと思います。
本を読むと、よく登場人物を自分に置きかえて
考えたりしますよね?
自分だったらできるかな、どうするかなって。
小学生のわたしが思ったのは、
「人のつらさを感じたり、わかってあげて、
自分ができることをするって素敵なことだな。」
ということです。でも、そう思いながらも、
「自分だったら王子やツバメのようにはできない
だろうな……。」
と、王子やツバメを尊敬しつつも、
自分にはそこまでできない、自分は冷たい人なのかな?
と、少し心配になりました。
この物語はとても悲しいけれど、
読み終えたときに残るものは、悲しみだけではないはず。
しあわせってどういうことなのか、とか
大切な人を思う気持ち、など
短いお話のなかに
いろんな感情が詰まってます。
ふだんの生活では考えないことを考える。
自分がどういう人間なのか気づかされる。
本を読むといろんな発見があります。
みなさんも本からいろんな発見をしてください。
みなさんが読んでくれている青い鳥文庫から
そのような発見をしてくれていたら……。
ツバメではないけれど、青い鳥(文庫)で
本を読む楽しさをお届けするお手伝いができるわたしは
しあわせだなと思うのでした。

『しあわせの王子』
オスカー=ワイルド/作
神宮輝夫/訳
村田収/絵
講談社 青い鳥文庫