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2009年9月1日更新
この本が好き!

この本が好き! 第29回
読者の想像をはるかに超える、怪盗 VS. 名探偵の攻防

『怪人二十面相』
幼児図書出版部 弓引き童子

青い鳥文庫読者のみなさん、こんにちは!
青い鳥文庫編集部とおなじフロアにある絵本の部署の
弓引き童子(ゆみひきどうじ)です。
去年、大学を卒業して講談社に入社したので、
みなさんとは比べるべくもありませんが、
毎日フレッシュな感じではたらいています。

みなさんは、「怪人二十面相」という怪盗をごぞんじですか?
去年の冬、怪人二十面相をテーマにした『K−20
怪人二十面相・伝』という映画も公開されているので、
それで知った方もいるかもしれません。
「おすすめの一冊を紹介して。」と言われ、
真っ先に思いついたのが、江戸川乱歩が書いたこの
『怪人二十面相』です。

*       *       *

最近、テレビや映画のCMで、「ダークヒーロー」という
言葉をよく耳にしますが、「怪人二十面相」はまさに、
日本の「ダークヒーロー」のさきがけ
(と勝手に思っている)です。

二十面相は、変装の達人で、血を見るのがきらい。
美しく貴重な美術品をこよなく愛す彼は、大金持ちから、
いかに華麗に、いかにゆかいに美術品を盗みだすかに
こだわって生きています。

紹介する『怪人二十面相』は、そんな二十面相が初めて
登場する作品で、宿敵・明智小五郎探偵と
その助手である小林少年と、
「いかに盗むか」「いかに守るか」という知恵比べを
おたがい一歩も引かずにくりひろげます。

冒頭からクライマックスを読んでいるような
息もつかせぬ展開、工夫をこらした二十面相のトリック、
それに対抗するために明智探偵が用意した
計算しつくされたワナ。二十面相はもちろん、
明智探偵も小林少年も変装の達人なので、
油断すると登場人物がいつのまにか入れ替わっていて、
びっくりすることも。

また、核心をつくパートで、「読者の諸君、
この部分が伏線だからちゃんと覚えておいてね。」と、
あえて書いてくれるとても親切な江戸川先生の愛情など、
見所はまんさいです。久しぶりに読み返してみたら、
あっという間に読んでしまいました。

そういえば、これを読んでいた子どものころ、
ちょっと年上の小林少年にあこがれて
「将来は探偵になりたい!」とよく思っていました。

*       *       *

二十面相はシリーズ化され、この後も続編が
何冊も刊行されています。明智探偵にやりこめられたり、
逆に度肝(どぎも)をぬいて見せたり、
あるいは小林少年をピンチにおちいらせたりと、
宿命のライバルは、読者の想像をはるかに超える
スケールで戦い続けていくのです。

クールで優秀な明智探偵もいいですが、
おっちょこちょいなところがあり、人間くささを
かくしきれない怪人二十面相は、時代が変わっても
子どもたちの心をひきつける魅力があると思います。

読んでいない方は、ぜひ読んでみてくださいね!

200909この本弓

『怪人二十面相』
江戸川乱歩/作
古賀亜十夫/絵
講談社 青い鳥文庫

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