


青い鳥文庫読者のみなさん、こんにちは!
青い鳥文庫編集部とおなじフロアにある絵本の部署の
弓引き童子(ゆみひきどうじ)です。
去年、大学を卒業して講談社に入社したので、
みなさんとは比べるべくもありませんが、
毎日フレッシュな感じではたらいています。
みなさんは、「怪人二十面相」という怪盗をごぞんじですか?
去年の冬、怪人二十面相をテーマにした『K−20
怪人二十面相・伝』という映画も公開されているので、
それで知った方もいるかもしれません。
「おすすめの一冊を紹介して。」と言われ、
真っ先に思いついたのが、江戸川乱歩が書いたこの
『怪人二十面相』です。
最近、テレビや映画のCMで、「ダークヒーロー」という
言葉をよく耳にしますが、「怪人二十面相」はまさに、
日本の「ダークヒーロー」のさきがけ
(と勝手に思っている)です。
二十面相は、変装の達人で、血を見るのがきらい。
美しく貴重な美術品をこよなく愛す彼は、大金持ちから、
いかに華麗に、いかにゆかいに美術品を盗みだすかに
こだわって生きています。
紹介する『怪人二十面相』は、そんな二十面相が初めて
登場する作品で、宿敵・明智小五郎探偵と
その助手である小林少年と、
「いかに盗むか」「いかに守るか」という知恵比べを
おたがい一歩も引かずにくりひろげます。
冒頭からクライマックスを読んでいるような
息もつかせぬ展開、工夫をこらした二十面相のトリック、
それに対抗するために明智探偵が用意した
計算しつくされたワナ。二十面相はもちろん、
明智探偵も小林少年も変装の達人なので、
油断すると登場人物がいつのまにか入れ替わっていて、
びっくりすることも。
また、核心をつくパートで、「読者の諸君、
この部分が伏線だからちゃんと覚えておいてね。」と、
あえて書いてくれるとても親切な江戸川先生の愛情など、
見所はまんさいです。久しぶりに読み返してみたら、
あっという間に読んでしまいました。
そういえば、これを読んでいた子どものころ、
ちょっと年上の小林少年にあこがれて
「将来は探偵になりたい!」とよく思っていました。
二十面相はシリーズ化され、この後も続編が
何冊も刊行されています。明智探偵にやりこめられたり、
逆に度肝(どぎも)をぬいて見せたり、
あるいは小林少年をピンチにおちいらせたりと、
宿命のライバルは、読者の想像をはるかに超える
スケールで戦い続けていくのです。
クールで優秀な明智探偵もいいですが、
おっちょこちょいなところがあり、人間くささを
かくしきれない怪人二十面相は、時代が変わっても
子どもたちの心をひきつける魅力があると思います。
読んでいない方は、ぜひ読んでみてくださいね!