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2010年1月15日更新
この本が好き!

この本が好き! 第36回
寝る間もおしんで読んだ、壮大な物語
『獣の奏者』
(講談社副社長 N)

青い鳥文庫読者のみなさん、こんにちは。 
ぼくは青い鳥文庫編集部のある講談社の副社長をしています。
編集者は本の中身を作る仕事ですが、ぼくは副社長として、
どうしたら作家の方が生み出した作品が読者のみなさんに
きちんと届けられるかと、印刷会社や書店の方たち、
そのほかたくさんの人たちと、毎日やりとりしています。

仕事がら、ぼくが読まなければならない本はたくさんあります。
なにしろ、講談社だけで毎月何百冊も本や雑誌やまんがが
刊行されています。とても全部は読みきれません。
義務感で読むと、本そのものがイヤになってしまいます。
ですから、読みたい本だけ家に持って帰るようにしています。
それでもやはりすごい量なので、読みきれずに、
本はどんどんたまっていく一方です。

そんななか、ぼくが最近読んで衝撃を受けた本を紹介します。
青い鳥文庫にも入っている『獣の奏者』です。

*       *       *

ぼくくらいの年の“おじさん”になると(青い鳥文庫読者の
みなさんの前で“お兄さん”とはとても言えません……)、
「児童書」でしかも「ファンタジー」で「女の子が主人公」
なんていう本は、読みはじめるのになかなか抵抗があります。
それでも、まわりの読書ツウの大人たちが、
「これはおもしろい!」とさわいでいるのを聞いて、
じゃあためしに読んでみようかな、と手に取りました。

読みはじめて、本当にびっくりしました。
児童書じゃない! と思いました。
そのくらい、大人のぼくが読んでも深く
考えさせられるような世界が広がっていたんです。

主人公のエリンは、10歳にしては大人です。
ふつうの子どもは体験しなくてすむような、
さまざまな困難におそわれます。
ファンタジーだけれど夢物語ではなく、
政治の理不尽(りふじん)さ、人種の問題といった、
いまのわたしたちの世界にもある重たいテーマが
土台にあります。

厚い本ですが、文庫版で出ているものはあっというまに
読み終わり、ハードカバー3巻の「探求編」4巻「完結編」と、
寝る間もおしんですぐに読んでしまいました。
じつは、ぼくはもともとファンタジーが苦手でした。
でも、『獣の奏者』のおもしろさに、すっかりとりこに
なってしまいました。

*       *       *

児童書は、すごいですね。
大人ものの本は、長く読まれると、名作であっても
「古い本」と思われます。
でも、児童書は名作でも古くなりません。
いつだって、新しい感動を読む人にもたらします。
きっとこの本も、そういった「名作」のひとつに
なるでしょう。

ぼくは『獣の奏者』を大人の目線で読みましたが、
青い鳥文庫読者のみなさんは、どういう気持ちで
読むのでしょうか?
エリンや、ハードカバーの3、4巻に出てくる
エリンの息子、ジェシに共感したりするのかな?

きっと、大人のぼくが読むのとはまたちがった
感じ方ができるんじゃないかなと思っています。

201001この本N
『獣の奏者』

『獣の奏者』全4巻
上橋菜穂子/作
武本糸会/絵
講談社 青い鳥文庫

『獣の奏者 V 探求編』

『獣の奏者 V 探求編』
上橋菜穂子/作
講談社

『獣の奏者 W 完結編』

『獣の奏者 W 完結編』
上橋菜穂子/作
講談社

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