


青い鳥文庫読者のみなさん、こんにちは。
ぼくは青い鳥文庫編集部のある講談社の副社長をしています。
編集者は本の中身を作る仕事ですが、ぼくは副社長として、
どうしたら作家の方が生み出した作品が読者のみなさんに
きちんと届けられるかと、印刷会社や書店の方たち、
そのほかたくさんの人たちと、毎日やりとりしています。
仕事がら、ぼくが読まなければならない本はたくさんあります。
なにしろ、講談社だけで毎月何百冊も本や雑誌やまんがが
刊行されています。とても全部は読みきれません。
義務感で読むと、本そのものがイヤになってしまいます。
ですから、読みたい本だけ家に持って帰るようにしています。
それでもやはりすごい量なので、読みきれずに、
本はどんどんたまっていく一方です。
そんななか、ぼくが最近読んで衝撃を受けた本を紹介します。
青い鳥文庫にも入っている『獣の奏者』です。
ぼくくらいの年の“おじさん”になると(青い鳥文庫読者の
みなさんの前で“お兄さん”とはとても言えません……)、
「児童書」でしかも「ファンタジー」で「女の子が主人公」
なんていう本は、読みはじめるのになかなか抵抗があります。
それでも、まわりの読書ツウの大人たちが、
「これはおもしろい!」とさわいでいるのを聞いて、
じゃあためしに読んでみようかな、と手に取りました。
読みはじめて、本当にびっくりしました。
児童書じゃない! と思いました。
そのくらい、大人のぼくが読んでも深く
考えさせられるような世界が広がっていたんです。
主人公のエリンは、10歳にしては大人です。
ふつうの子どもは体験しなくてすむような、
さまざまな困難におそわれます。
ファンタジーだけれど夢物語ではなく、
政治の理不尽(りふじん)さ、人種の問題といった、
いまのわたしたちの世界にもある重たいテーマが
土台にあります。
厚い本ですが、文庫版で出ているものはあっというまに
読み終わり、ハードカバー3巻の「探求編」4巻「完結編」と、
寝る間もおしんですぐに読んでしまいました。
じつは、ぼくはもともとファンタジーが苦手でした。
でも、『獣の奏者』のおもしろさに、すっかりとりこに
なってしまいました。
児童書は、すごいですね。
大人ものの本は、長く読まれると、名作であっても
「古い本」と思われます。
でも、児童書は名作でも古くなりません。
いつだって、新しい感動を読む人にもたらします。
きっとこの本も、そういった「名作」のひとつに
なるでしょう。
ぼくは『獣の奏者』を大人の目線で読みましたが、
青い鳥文庫読者のみなさんは、どういう気持ちで
読むのでしょうか?
エリンや、ハードカバーの3、4巻に出てくる
エリンの息子、ジェシに共感したりするのかな?
きっと、大人のぼくが読むのとはまたちがった
感じ方ができるんじゃないかなと思っています。