


青い鳥文庫読者のみなさん、こんにちは。
わたしは講談社フェーマススクールズの社長をしています。
フェーマススクールズは、プロのイラストレーターや
マンガ家をめざす人のための、通信教育の会社です。
青い鳥文庫でも卒業生がたくさん活躍しています。
「若おかみは小学生!」の亜沙美さんや、
「へこまし隊」のいのうえたかこさんなど、
みなさんもよく知っている人気シリーズのイラストを
フェーマス出身のイラストレーターが描いています。
最近の受講生には、「青い鳥文庫のさし絵を描く」
というのが目標になっている人も多いんですよ。
わたしがみなさんにおすすめしたい本は、
『スコアブック』です。
著者は伊集院静(いじゅういん しずか)さんといって、
大人の小説の世界ではとても人気のある作家です。
これは、彼がはじめて書いた児童書です。
わたしは、仕事や仕事以外でも伊集院さんと親しく
させていただいていて、この本も伊集院さんご本人から
いただきました。
スコアブックというのは、野球をする人は知っていると
思いますが、試合の内容を記録するためのノートです。
ヒットの数や投球数、選手の動きなどを書きこみます。
そのノートに記録する人を、スコアラーといいます。
『スコアブック』の主人公は、海沿いの町、湘南に住む
スコアラーの小学4年生、ミサキという女の子です。
ミサキには、夢があります。
「野球チームを作って、そのチームを大きくする。」
という夢です。チームはなかなかメンバーがそろいません。
それでも、「このあとどうなるんだろう?」という
期待感がいっぱいで、どんどん読み進めたくなります。
「友情」というと気恥ずかしい感じかもしれませんが、
仲間たちとの言葉のやりとりで展開していくところが
わたしはいいなあと思います。
小学生の仲間たちもいいのですが、わたしの好きな
登場人物は、ロッドという60歳のおじいさんコーチです。
ロッドといっても日本人で、「伝説のサーファー」と
呼ばれています。ロッドがミサキたちを見る目は
とてもあたたかく、そしてかっこいいのです。
わたしもかつて、野球少年でした。
いや、野球をする少年ではなかったのですが、
ミサキとおなじようにSO社のスコアブックを買って、
テレビの野球の試合を記録して楽しんでいました。
それだけではあきたらず、自分の好きな選手を集めて
夢のチームを結成して、空想で試合のスコアをつけて
楽しんだりもしていました。(いまのテレビゲームで、
そういうソフトがありますよね。)
この本のさし絵は、ちばてつやさんです。
かつてわたしも、ちばさんの『あしたのジョー』などを
胸を熱くして読んでいました。
『スコアブック』を読んでいると、そういった昔の思い出が
いっしょになって、わたしの胸にぐっとせまってきます。
みなさんはもちろん、わたしのような大人が読んでも、
十分おもしろい本です。
野球は男の子のものだけではありません。
また、この本は野球好きのものだけではありません。
文章には、作者の伊集院さんの、みんなへのやさしい
まなざしにあふれています。
そして「みんなに夢を持ってほしい」という
願いがこめられています。
野球というシンプルなゲームが持つ熱いドラマ。
この、まだ試合ができる人数もそろっていないような
ミサキのチームが、このあとどうなっていくのか。
まるで大河ドラマを見るような気持ちで、
わたしは次の巻が出るのを心待ちにしています。

『スコアブック(1)
―ミサキの夢―』
伊集院 静/作
ちばてつや/絵
講談社
『スコアブック(2)
―ツムジ風の中の対決―』
伊集院 静/作
ちばてつや/絵
講談社
『スコアブック(3)
―湘南オーシャンズ―』
伊集院 静/作
ちばてつや/絵
講談社