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2010年2月15日更新
この本が好き!

この本が好き! 第38回
胸が熱くなる、仲間たちの友情ドラマ
『スコアブック』
(講談社フェーマススクールズ社長 M)

青い鳥文庫読者のみなさん、こんにちは。
わたしは講談社フェーマススクールズの社長をしています。

フェーマススクールズは、プロのイラストレーターや
マンガ家をめざす人のための、通信教育の会社です。
青い鳥文庫でも卒業生がたくさん活躍しています。
「若おかみは小学生!」の亜沙美さんや、
「へこまし隊」のいのうえたかこさんなど、
みなさんもよく知っている人気シリーズのイラストを
フェーマス出身のイラストレーターが描いています。
最近の受講生には、「青い鳥文庫のさし絵を描く」
というのが目標になっている人も多いんですよ。

わたしがみなさんにおすすめしたい本は、
『スコアブック』です。
著者は伊集院静(いじゅういん しずか)さんといって、
大人の小説の世界ではとても人気のある作家です。
これは、彼がはじめて書いた児童書です。
わたしは、仕事や仕事以外でも伊集院さんと親しく
させていただいていて、この本も伊集院さんご本人から
いただきました。

*       *       *

スコアブックというのは、野球をする人は知っていると
思いますが、試合の内容を記録するためのノートです。
ヒットの数や投球数、選手の動きなどを書きこみます。
そのノートに記録する人を、スコアラーといいます。
『スコアブック』の主人公は、海沿いの町、湘南に住む
スコアラーの小学4年生、ミサキという女の子です。

ミサキには、夢があります。
「野球チームを作って、そのチームを大きくする。」
という夢です。チームはなかなかメンバーがそろいません。
それでも、「このあとどうなるんだろう?」という
期待感がいっぱいで、どんどん読み進めたくなります。
「友情」というと気恥ずかしい感じかもしれませんが、
仲間たちとの言葉のやりとりで展開していくところが
わたしはいいなあと思います。

小学生の仲間たちもいいのですが、わたしの好きな
登場人物は、ロッドという60歳のおじいさんコーチです。
ロッドといっても日本人で、「伝説のサーファー」と
呼ばれています。ロッドがミサキたちを見る目は
とてもあたたかく、そしてかっこいいのです。

*       *       *

わたしもかつて、野球少年でした。
いや、野球をする少年ではなかったのですが、
ミサキとおなじようにSO社のスコアブックを買って、
テレビの野球の試合を記録して楽しんでいました。
それだけではあきたらず、自分の好きな選手を集めて
夢のチームを結成して、空想で試合のスコアをつけて
楽しんだりもしていました。(いまのテレビゲームで、
そういうソフトがありますよね。)

この本のさし絵は、ちばてつやさんです。
かつてわたしも、ちばさんの『あしたのジョー』などを
胸を熱くして読んでいました。

『スコアブック』を読んでいると、そういった昔の思い出が
いっしょになって、わたしの胸にぐっとせまってきます。
みなさんはもちろん、わたしのような大人が読んでも、
十分おもしろい本です。

*       *       *

野球は男の子のものだけではありません。
また、この本は野球好きのものだけではありません。
文章には、作者の伊集院さんの、みんなへのやさしい
まなざしにあふれています。
そして「みんなに夢を持ってほしい」という
願いがこめられています。

野球というシンプルなゲームが持つ熱いドラマ。
この、まだ試合ができる人数もそろっていないような
ミサキのチームが、このあとどうなっていくのか。
まるで大河ドラマを見るような気持ちで、
わたしは次の巻が出るのを心待ちにしています。

201002(講談社 社長室 M)
『スコアブック(1)―ミサキの夢―』

『スコアブック(1)
―ミサキの夢―』

伊集院 静/作
ちばてつや/絵
講談社

『スコアブック(2)―ツムジ風の中の対決―』

『スコアブック(2)
―ツムジ風の中の対決―』

伊集院 静/作
ちばてつや/絵
講談社

『スコアブック(3)―湘南オーシャンズ―』

『スコアブック(3)
―湘南オーシャンズ―』

伊集院 静/作
ちばてつや/絵
講談社

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