今月はいきなり、読者のメールから。
CLEARさんはいつも楽しくてひねりのある問題を送信してきてくれるのだが、そのなかのひとつに「ことばあそび」と題するこんなのがあった。一部抜粋して紹介させてもらうことにする。
以下を漢字に変換せよ。
- だいだいだいだいだいだいだいだ
- いがいがいがいがい
- まいまいまいまいまいまいまいまい
補足すると、漢字に変換してちゃんとした文章をつくりなさい、ということである。
じっと考えればいろいろできそうだけど、CLEARさん本人の答えは以下の通りだ。
- 橙代々代打偉大だ
(意味=橙組の代打は以前からずっと偉大な人がつとめる)
- 意外、蛾以外害
(意味=意外なことに、この数匹の虫の中では蛾以外は人にとって害なのだ!)
- マイマイ毎々舞い、間今居まい
(意味=そのかたつむりはいつもいつも躍るので、かたつむりが躍っている居間には今は誰もいるはずがない。)
うーむ、おもしろいぞ!
誤変換とはまたひと味ちがって、なかなか味わい深い文になっているところがニクイ。
しかし、こういうのを見せられると、つい自分でもやってみたくなるではないか……よーし、ぼくもやるぞっ!
とびとびとびとびとびとびとびと
↓
鳶十尾飛び、跳び跳び渡人鼻とビトビト
(意味=トンビが尾をピンとさせて十羽飛んでいるのをながめながら、ピョンピョンと川を渡る人の鼻とかがビトビトだ)
わにわにわにわにわにわに
↓
鰐輪に和庭に話二羽煮
(意味=ワニが輪になって日本庭園にいるところへ二羽のウサギが話にやってきたが、鍋で煮られてしまった)
てんてんてんてんてんてんてんてんてん
↓
点転々天点々展……
(点は転々としていて、天は点々としている展覧会があって、それを見た人は意味がわからず「……」と絶句している)
って、まったく意味不明だけど、なんか楽しいよね、こういう言葉遊びって。みんなもためしてみるとオモシロイかも。
俳句とか詩にも、言葉遊びっぽいものはいくつもある。
たとえば「パスワード風浜クエスト」の第二話に登場した高柳重信の俳句などが典型だ。ここでは、視覚的にも遊んでる句をひとつだけ紹介してみる。〈黒い孤島〉と題する、こんな俳句だ。(ホントは縦書きなので、そのつもりで読んでくださいね。)


『パスワード風浜クエスト』
どうです。
句全体が、まるで波のようにうねっているでしょう。いやあ好きだなあ、こういうの。
こうなったら、詩のほうもなにかひとつ引用したくなってくる。ぴったしなのがあります。川崎洋の「言葉ふざけ」(詩集「象」より)という作品だ。説明はしません。まるで万華鏡みたいな言語遊戯の世界を、じっくり味わってくださいねっ!
さかさのさかさはさかさ
八百屋のさかさも八百屋
スイスのさかさもスイス
パパのさかさもパパ
ママのさかさもママ
耳のさかさも耳
ミルクのさかさは胡桃
イルカのさかさは軽い
マントのさかさはトンマ
貝のさかさは烏賊
砂のさかさは茄子
鯛のさかさは板
手袋のさかさはろくぶて
ろくぶて 六つぶて
いたいのさかさはいたい
アハハのさかさはハハア
こ猫のさかさはこ猫
いないのさかさもいない
傘のさかさは坂
鰐のさかさは庭
草のさかさは咲く
と、まあ、そんなわけで、言葉というのは本当におもしろいものなのだ!
というのが今回のお話の結論なのであったぞ。