『ゾウのいない動物園』
岩貞るみこ/作 真斗/絵 田丸瑞穂/写真
小学中級から
かしこく、強く、やさしいゾウは、上野動物園の人気者だった。そんな楽しい動物園の風景をよそに日本は戦争へと突入していく。えさもないなか、けんめいに動物たちを守る飼育員たち。「猛獣」とされたゾウは、動物たちの運命は、どうなるのだろうか――。ほんのちょっと前、日本であったほんとうのお話。
東京にある上野動物園は、1882年(明治15年)に開園しました。インドから子ゾウのジョンとトンキーがやってきたのは1924年(大正13年)。やがて1941年(昭和16年)に太平洋戦争がはじまりましたが、戦争のつらさを忘れようとたくさんの人々が上野動物園を訪れ、その年の入場者数は324万8068人と過去最高になりました。しかしそのわずか2年後に、ゾウたちにとっても飼育員にとっても、つらい命令がくだされたのでした。