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(ほろほろ鳥)4月の編集後記

新入社員を社内で見かける季節になりました。
会議などを見学したり、彼らはいま、「研修」の真っ最中。一心にメモをとっていたり、おおむね初々しい。中に「らしからぬ」も混じっていたりするのですが、まあ、それはそれで頼もしい。わたしの新入社員時代は、ほんとうにダメダメで、何もしてないのにやたら疲れて、同期と食堂で昼食をとるときだけが、息抜きの場だったものです(後になって、食堂での新入社員の会話を聞いてスカウトする部長がいると聞いて冷や汗をかきましたが)。ただ、とにかく本が作りたかったなあ。書店での研修などを経て、彼らの正式な配属がきまるのは6月。ちょうど燕の雛が巣立つ季節です。(ほろほろ鳥)

 
次回は2013年5月25日更新予定です。
 
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第32回講談社絵本新人賞受賞作『ぼくと おおはしくん』刊行記念 デビュー日記連載中!
生きているのがつらいと思っているきみへのメッセージ

イラスト/高島尚子



『ジロがなく 新装版』
『ジロがなく 新装版』
——いよいよ『ジロがなく』の新装版が刊行になりましたね。しかもNHKのテレビ絵本でも放映されるとのこと。放映が楽しみです。さて、山下さんと『ジロがなく』の打ち合わせをしていたころ、アイデアノートを無くされたことがありましたね(笑)。もの凄く落ちこんでらっしゃってて……。

 そうそうありました(笑)。アイデアノートというか、メモですけど。カバンごと電車のなかに置き忘れちゃったんです。絵本を描くようになる前からの習慣だったんですけど、思いついたときにちょこちょこ書きこんでいたんです。あとで見てもたいしたこと書いてないんです。でも見ると、そのときのこと思いだすんですよ。


——結局、出てきたんですよね。絵本のアイデアが書いてあったんですか?

 三日目ぐらいにでてきました。出るまで毎日、遺失物センターに電話で問い合わせしてました(笑)。ぼくは、絵本のために考えるってことはないんですよ。考えても出てこないし。何かのついでに、「あっ、こういうのどうかな」と思ったらすぐにメモをするんです。覚えてなくてもだいじょうぶなようにとメモするんですから、なくしちゃうと取り返しがつかないんです。


——そういうメモはどういう風に、絵本作品に生きるんでしょう。新人賞の受賞作、『しろへびでんせつ』のときもメモから作ったんですか?

 メモをとる習慣はありましたけど、どうだったかな。良く覚えてないですね。メモがそのまま絵本になるわけじゃないですから。とにかく『しろへびでんせつ』のときは、いきなりカラーダミー(下の写真を参照)を作ったんです。最初から順に文章を書いて、それに絵をつけていきました。あんまり悩まないで短期間にできちゃったし、それ以外に作り方を知らなかったんですよね。作り方が変わったのは、二作目の『おまけのひろせくん』のときからですね。


——そのきっかけは?

『おまけのひろせくん』も最初から順に描いてカラーダミーをつくったんですね。でも何だかうまくいかなかったんです。そしたら打ち合わせのとき編集者に、「このエピソードを前にもってきたら」っていわれたんですね(笑)。


講談社フェーマススクールズ
コンテ1 ——そうでしたっけ(汗)

 あ、忘れてるんだ(笑)。とにかくぼくには物語の中のエピソードをブロックみたいに分けるという発想がなかったんで、なるほどと思ったんですよ。基本は起承転結なんだけど、入れ替えることによって効果を変えることができるんだって。手品みたいに思いました。それで三作目の『ジロがなく』のときからダミーの前にコンテを作るようになりました。


——『ジロがなく』のときのことを聞かせて下さい。

 あのころは池袋文芸座という名画座で、黒澤明の映画をよく見てたんですね。『椿三十郎』という作品のラストシーンに衝撃を受けて、絵本もこういう凄い見せどころを作らなきゃいけないと思ったんです。


——そういうことをメモするわけですね。

 そうですね。でも『ジロがなく』のときは、それとは別のメモも作りました。ストーリーになるエピソードの要素を書き出したメモを何枚も何枚もつくっていって、それにかんたんな絵をつけて、順番を入れ替えたりしてみたんです。それでいらない絵を削っていって……いわゆる構成ですね。それをまとめてコンテにしたんです。


——コンテから、色のついたカラーダミーを作るんですね。この段階でもう構図はきまってるんですか?

 いいえ。カラーダミーの段階で、どういうのがいちばん効果的に見えるのか、いろいろスケッチして構図を考えます。さらに下絵のときに変えることもあります。今日持ってきましたけど、みんな同じシーンだけどちょっとずつちがっているでしょ。これが本になるとさらに違っているわけです。


——本当ですね。カラーダミー以外は初めてみましたが、どのように思考を進められていったかがよくわかります。先月刊行になった『ゴンノスケ(3) テツガクうさぎにきをつけろ!』は、きむらゆういちさんの文章に絵をつけられたんですが、同じプロセスをするんですか?

 いいえ、この作品の場合は読んだ順に絵をつけ、コンテは作らずにカラーダミーを作りました。というのは、最初に読んだときの印象をなるべく残したいので。それでも幸いにして大きな修正はありませんでした。もちろん小さな修正はありましたけど。


——修正を提案されてカチンときたりしませんか? さんざん修正提案をした元担当を前にして、答えにくいかもしれませんが(笑)。

 いいえ、気になりませんよ(笑)。もっともだと思います。自分はこういうつもりということは主張しますけど、第三者にわからなければしょうがないですから。それに編集者の気持ちになれば、よほどのことじゃないとダメ出しなんか出したくないでしょうし(笑)。


——ほんとにそう思ってます? なんかゾワっとしたんですけど(笑)。

 ほんとです。ですからみなさん、絵本新人賞をとったら、編集者のいうことは聞きましょう!!


——そんなに合わせてくれなくて良いです。こわいから。どうもありがとうございました。

コンテ2
ジロが泣く
『ジロがなく 新装版』
定価1,575円(税込)
おおかみ・ゴンノスケの腹ペコ日記(3)テツガクうさぎに気をつけろ
『おおかみ・ゴンノスケの腹ペコ日記(3)
テツガクうさぎに気をつけろ』

定価1,050円(税込)
(インタビュー:講談社)

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山下ケンジ(やました けんじ)
1959年東京生まれ。『しろへびでんせつ』で第16回講談社絵本新人賞受賞。作品に、『ぼくのうたをきいとくれ』「おおかみ・ゴンノスケの腹ペコ日記」シリーズ(きむらゆういち/作)など。
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