title_ura.jpg(19672 byte)
Vol,21 試合続きだった2月を振り返って(4 Mar, 2004)

 2月18日のオマーン戦(ワールドカップ予選)以降、「ジーコで良いのか?」といった議論がマスコミ内でも、ファンの間でも盛り上がっているようです。確かに、オマーン戦の出来はひどかったと思います。

 何よりも、疲れているはずの「欧州組」に固執する姿勢に疑問を持ちました。いったい、マレーシアとイラクの試合は何だったのでしょうか? オマーン戦のスタメンを見るかぎり、「キャンプでトレーニングした“日本組”よりも、所属チームでは最近プレーしていない選手もいる上に、過密日程で来日する“欧州組”のほうが実力的に上」と判断したということになります。“欧州組”では藤田俊哉が1戦だけ参戦した昨年末の東アジア選手権時のチームよりも、“欧州組”で構成したほうがパフォーマンスは上だという意味でもあります。“欧州組”って、そんなに実力が抜きん出ているんでしょうか? 実際のパフォーマンスを見るかぎり、ジーコのやったことは、“実力よりも名声をとった”いう印象があります。まるで、サラリーマン社会と同じようで、夢がありません。このままでは、多くの“日本組”が、しらけるのではないでしょうか? 不本意な状況でも頑張るのがプロなのかもしれませんが……。
ジーコ監督
オマーン戦後、会見を開くジーコ監督。この後、故郷ブラジルへ一時帰国している間に一部ファンによる「解任要求デモ」が行われた
 ただ、だからといって、基本的にはジーコをクビにすべきとは思いません。理由は以下です。

 クビにするなら、もっと早い段階ですべきだった。ジーコは選手の個性を重視する姿勢でやってきましたが、「パサーが多い割には、受け手が少ない」「流動性が少ないサッカーをしている」点では、ずっと変わっていません。クビにするなら、もっと早い段階で決断すべきだったと思います。

 今、クビにするとすれば、ジーコ就任以降の1年以上はなんだったのでしょうか? W杯ベスト16に導いたトルシエをクビにしてまで、就任要請をした監督です。多くの識者が主張するように「個性を活かさないトルシエ」よりも、「個性を生かすジーコ」が良いなら、もう少し待ってしかるべきだと思います。もしかしたら、やがては個性が生きるかもしれません。

中村俊輔と遠藤保仁
話し合う「欧州組」の中村俊輔と「日本組」の遠藤保仁。チーム力向上のためにもコミュニケーションが不可欠だ
 ただ、クビにするのであれば、指導者としては実績のないジーコを選んだサッカー協会の偉い方々及び、実際に“下で”働いていた方々、ジーコを一時的に絶賛したマスコミの方々には、顧録を書いていただきたい気分です。

 僕個人としては、ジーコでうまくいくとは思っていませんでした。「個性を生かす」なんて手法は、まるで文部科学省の志向する「ゆとり教育」のようです。自分だけ“良い子”でいるようで無責任です。ジーコには、すでに「億単位」の金を払っています。一般社会同様、大事なことがコストパフォーマンスです。そういうことも加味して、ジーコの進退を判断する必要があるのではないでしょうか?

PS なぜ、鹿島で試合をしたんでしょうか? なぜ、埼玉スタジアムのアクセスは良くならないのでしょうか? 関係者の方々が努力すれば、もっと遠方のファンが試合を見にくることができると思います。TV放映権料を重視しているとしか思えません。昨年末、トヨタカップの際、「試合後、電車はありますか?」という問い合わせが編集部にありました。日本サッカー協会の偉い方々には、そういうファンの切実な思いを理解して欲しいと思います。ちなみに、ユーロ2000(欧州選手権)の際、オランダ国内では、試合チケットを持っているファンは、公共の交通機関が無料でした。臨時列車も多数ありました。いまさらながら、サッカー先進国は違うなあ、と思います。

PS2 フットボール・ニッポンの次号は五輪代表の大特集がメインです。今野ら昨年のワールドユース世代の成長で、チーム力はアップしています。若い選手は成長が早いなあと思う日々です。是非、このまま慢心しないで頑張ってほしいです。個人的にはチームをまとめる主将=鈴木啓太のキャプテンシーに期待しています。今や、相対的に際立ってはいませんが、おとなしい選手が多い中、カギを握る人物だと思います。

(2004年3月2日)
文=木次成夫

講談社のプライバシーポリシー
本サイトに掲載の文章、画像、写真などを無断で複製、流用することは法律上禁じられています。すべての著作権は株式会社講談社に帰属します。
Copyright(c)2003-2005 Kodansha Ltd. All Right Reserved.