Vol,26 タイミング(19 May, 2004)
か、勝てない。編集部がイヤーブック作成をしている柏ですが、もうカップ戦含め10試合勝ちがないのです。試合終了のホイッスルが鳴ると、下平隆宏、中澤聡太、茂原岳人がピッチに座り込む。波戸康広がなにかを叫びながら地面を蹴っている。5月15日国立競技場で行われた鹿島戦。勝ち点3をこの日も手にできなかった。ついに、ついに最下位です。「今はとりあえず内容より結果が欲しかった。内容が良かったと言われても、評価はできないと思う」(永田充)。勝ちがなによりも欲しいのです。

この日はなぜかいるサイドとは逆足、つまり右サイドなら左足で蹴っていた茂原。「ゴールに向かっていってちょっと触れば入るようなクロスを練習していたので。それを意識してのことです」
「勝負弱いんだよ」
下平は言う。チームをずっと支えてきた男の言葉は重い。(2年間いませんでしたが……)。
Jリーグ昇格のかかった93年のナビスコカップ市原戦や94年のJFLVol,29節川崎製鉄戦、00年のセカンドステージ優勝を争ったVol,15節鹿島戦(この試合も国立)、そして、J1残留をかけた02年のセカンドステージVol,14節広島戦も、そう。大事なところで結果が出せない。
試合前には、同じ“後がない”もとい“前しかない”仲間(?)である歌手の鈴木亜美さんが応援にきてくれた。試合前から会場はソワソワ。いつもよりペン記者もカメラマンも多く、入りが早い。名良橋晃、青木剛、田中康平といった鹿島が誇る各年代の日の丸組もソワソワ。中でもいちばんソワソワしていたのは、中井昇吾。なぜって自分の背番号29を鈴木亜美さんが着ているのだから。中井のファンか、それともサイズが同じだからか。憶測が飛び交う。中井本人は後者と思ったらしいが、正解は鈴木亜美さんの誕生日が2月9日だから。しかも、中井と行動を共にしていた矢野貴章は流れで握手したものの、中井はタイミングが掴めず、握手できずじまい。

「こういう試合で結果を出したかった」気持ちの入ったスライディングを連発していた下平。次節は出場停止だが、「ドゥドゥも(ベンチから)外されて悔しい思いをしている。やってくれるでしょ」
試合に話を戻します。今年のスローガンである“走魂宣言”を初披露(?)。立ち上がりから積極的にプレッシャーをかけた。後半落ちるのは、明確だった。それでも、ベンチには谷澤達也、平山智規らが控え、流れを引きつける交代はできた。
「個人的には足がツリかけてきたから代えてもらおうかなと思ったんだけど、自分から無責任に投げ出せないじゃない、試合の途中で……」(下平)

「たくさんのサポーターがきてくれたからぜひ勝ちたかった。あれだけ来てくれると選手も力強い。試合後の拍手がまた重かった。悔しさがまた込み上げてきた」と中澤は悔しさを噛み締めた
サポーターに勝つと宣言した自分が同点の状態で自らピッチを去ることはできなかった。辛いのは自分だけじゃない。近藤直也もツリかけていた。自分から引き下がれなかった。ベンチに察してほしかったと僕は思う。「いい流れの中で、交代という冒険はできなかった」とは池谷友良監督の試合後の弁。池谷監督も中井と同じようにタイミングが掴めなかったようだ。
チーム全体として、なにかがふっきれたという印象。手に入れつつあるのは、勝者のメンタリティーか、はたまた負け犬根性か。前者であることを祈りつつ、今週もまた重い1週間を過ごさなくては。
(2004年5月18日)
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