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Vol,60 ドイツ・コンフェデ取材記(7 Jul, 2005)

 W杯開催12都市をり、コンフェデを取材した約1ヵ月のドイツ取材をようやく終えた。予想以上に寒暖の差が激しく、スタジアム設備やホテルなどの環境面もさまざまに見ることができ、本大会に向けていいシミュレーションになった。だが、何よりの収穫は「ドイツ人気質」を体験できたことかもしれない。
 6月22日、ライプチヒのツェントラル・スタジアムでオーストラリア対チュニジアを取材した。ともに2連敗で迎えた最終戦。しかも同日、同時刻からグループAの最終戦、アルゼンチン対ドイツも行われている。当然のことながらこの消化試合を取材するメディアは少ない。この閑散とした旧東ドイツのスタジアムで、いかにもドイツ人らしいエピソードに出会うことになった。

 コンフェデのような大会になると、カメラマンのパスは3種類に分けられる。大抵はロイターやAPといった世界的な通信社が「プライオリティー1」、当該対戦国のメディアが「2」、Vol,三国のメディアやフリーランスが「3」、という具合だ。プライオリティーの高い順にそれぞれ試合開始4時間前、3時間前、2時間前から撮影したい座席を決められるシステムになっている。人気の試合になると、少しでもよい席を確保しようとカメラマンたちは必ず列を作る。30人以上が並ぶこともしばしばだ。
 本誌渡部薫カメラマンのこの日のプライオリティーは当然「3」。つまり2時間前から受付開始。スタジアムのメディアセンターに到着したのは2時間5分前。予想通り、誰も列を作っていない。
目の前にはニコニコ顔のボランティアが2人。名前を告げると、左側のメガネ君がこう言った。
「うーん……、君たちは『プライオリティー3』だから……あと5分待ってくれる?」
確かに規則上はプライオリティー3だから2時間前から受付開始である。しかし誰もいない。席もガラガラ。たとえここで一席取ったところで誰も文句は言わないほど、数えられるほどのカメラマンしか来ていない。
「冗談でしょ。誰もいないじゃん。5分待ったって誰も来ないし、もし来ても1人2人でしょ。大差ないよ」と言ってみたものの「でも……、規則は規則だから……」とオドオド、キョロキョロ。誰に怒られるのを心配しているのか、目が泳いでる……。
 時間の無駄だ、などとあれこれ文句を言うと(こっちも5分くらい待ってもいいんだけど)、
「わかったよ、どこの席に座りたいか、決めていいから。あと4分だし」とメガネ君。
一瞬でも「お、ドイツ人でも珍しく柔軟な対応ができる人もいるんだね」なんて期待した僕が悪かった。そのあとにメガネ君は続けた。
「ただし、僕たちに教えるのは4分後にしてくれ。」

 それまでの取材中もいろいろあった。記者会見に行きたいのに、ミックスゾーンのパスを渡されて、「変えてくれ」と言ったら「僕たちにその権限はない」の一点張り。乗った電車の車掌と30分モメたこともあった。ホテルでの対応もおカタい。
 誤解を承知で言う。ドイツ人は生真面目でマニュアル通りにはできるけれど、柔軟性が足りない。生真面目なドイツ人はコンフェデ決勝で自慢の幌屋根が破け、ピッチの一部が大洪水したフランクフルトのスタジアムをきちんと修復して本大会に備えるんだろう。だけど、僕にとってはそれよりもドイツ人の変にお堅いところを直して欲しい。まあ無理だろうけどなぁ。

(2005年7月6日記)
文=谷岡 桂

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