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Vol,61 怒るだけがファンですか(15 Jul, 2005)

 柏レイソルが浦和レッズに勝ってしまいました。でも、僕は、その前の10日の日曜日、敗れたとはいえガンバ大阪戦で2点差を追いつくまでの時間帯のプレーに感動的しました。"やれば、できるじゃん"という感じです。おそらく、選手たちは「勝てない」ゆえに、ひとつひとつのプレーをする際、勇気を無くしていたんだと思います。たとえば"ミスをしてはいけない"と考えすぎて、プレーが小さくなったり、相手に読まれやすいパスになったり、ミスをしたり。
 ガンバ戦、結果的にレイソルは負けてしまいました。レイソルに限らず、ファンの方々の中には、チームが負けると怒りまくる人がいます。でも……。僕は思います。怒るだけじゃ、物事は好転しないこともあるのではないでしょうか? 怒るだけではなく、良い面ももっと評価することも大事ではないでしょうか。文部科学省がたぶん長年悩んでいる「個性を生かす」教育みたいなものです。ミスを叱るよりも、数少なくても良い面を褒めるほうが、ポジティブだと思いませんか? 会社社会にも同じようなことがあると思いますが。
 ふと思い出しました。レイソルは昨季、入れ替え戦のときも非常に良いサッカーをしました。たぶん、ギリギリの状況にならないと"開き直れない"のでしょう。大問題ではありますが、少なくとも「実力的に全然ダメ」ということではないのです。

 最近、ファンが怒り気味の「読売」(東京V)にしても、昨季の天皇杯でのパスワークは感動的でした。ワシントンに依存するサッカーが、チーム全体のサッカーを微妙に変えたのかもしれません。もし、僕は怒るとしたら、敗退に関してではなく、パスワークがつまらないサッカーになってしまったことに関してです。同じような意味で、横浜F・マリノスは「日産」時代の華麗さがないし、ジュビロ磐田も90年代後半の華麗さがない点でムカついています。監督の方々は、勝てば良いと思っているのかもしれませんが、サッカーって、そんなもんじゃないと思います。
 たとえばFCバルセロナが華麗に勝たなくてはいけないように、クラブ伝統の美学というものがあるべきです。そういう意味で、ジュビロもマリノスもかつてのような魅力を感じません。

 話がずれましたが、要はサッカーが勝敗だけではないということが言いたかったのです。
 レイソルに関しては、なぜかレッズに勝ったことですし、まだまだ挽できるチャンスはあります。この際、負け続けても良いから、もっと積極的にやりましょうよ、と思う日々です。
 ガンバ戦を見ていて思いました。(ガンバの)西野監督は本当に攻撃好きだなあ、と。攻撃陣を厚くして、失点し、苦戦するなんて……見ていてワクワクします。レイソルに戻ってくれないかなあ、と思います。あるいは日本代表監督でも良いですが……。

 ついでですが、「個性」という点で思い出したことがあります。ワールドカップ予選のバーレーン戦で小笠原がゴールを決めた際、柳沢が相手DFを引っ張るべく、必死に走ったのが効果的でした。過去数年、柳沢は「シュートを打たない」「消極的だ」と批判されていました。でも、FWの仕事はシュートだけではありません。柳沢の良さのひとつは、必ずしも自分がゴールすることにはこだわらずに、周りを生かす動きをすることです。もし、柳沢が自分らしさを放棄して、むやみにシュートを打ちまくる選手になっていたら、バーレーン戦の小笠原のゴールもなかったと思います。

(2005年7月14日記)
文=木次成夫

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