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Vol,71 (全国高校サッカー取材記)2005年12月31日 三ツ沢球技場(05 Jan,2006)

2005年12月31日
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2005年12月31日
 今年もやってきました、高校サッカー選手権の時季。毎回、大会会場を訪れるたびに思うのは、同じサッカーではあるのですが、どの国の、どの年代とも違う独特のサッカーが観られるということ。同じユース世代でも、Jクラブのユースチームと比べると技術は荒いし動きもかたいし、戦術も大雑把に見えてしまいます。一方で多少強引でも、どんどんチャレンジしていくところが潔かったりして、スタンドの盛り上がりも野次はあってもブーイングまでは(大きくは)出なかったりして、なんというか、非常にマナーのいい「好感度の高い」サッカー。純粋なスポーツとして教えているのか、教育の一環として教えているのかが、大会の質に違いをもたらしているのかどうかはわかりません。が、「高校サッカー」は、とても独特な印象を与えてくれる大会だといえそうです。

 1回戦で観ようと決めたのは三ツ沢球技場の2試合。常葉橘(静岡)VS.滝川二(兵庫)と中京大中京(愛知)VS.松山工業(愛知)。サッカー王国で新しい風を起こした常葉橘は、全国最激戦区を勝ち抜いての初出場。対する滝川二も、高円宮杯でベスト4という好成績を引っさげて今大会に臨んでいます。さらに中京大中京には、2年生にしてU18入りした注目の選手がいて(くわしくは『FOOTBALL NIPPON』冬号の名鑑をご参照ください!)、対戦相手の松山工業もインターハイでベスト8に入っている……。どのチームも見所満点なのですが、2試合を見終わった今、松山工業のサッカーが最も印象に残りました。

 すべての実力を出したとは言い切れない内容で、滝川二に0-2で敗れてしまった常葉橘の長澤監督が、「どうしても早く蹴りたくなりがちになってしまう」と、言っていました。高校サッカーで多いのは、縦へのボールを多くして、とにかく前線の大きな選手に当てるというプレー。そこからゴールまでは、フィジカルを活かした個人技と強引さで勝負していく傾向が多いように見えます(もちろんそれだけではないのですが)。すると確実性が落ちて、競り合うシーンが増えて、ボールが落ち着かなくなってくる。だからなのかは分かりませんが、丁寧に後ろから繋いでいく、落ち着いて確実なプレーができるチームがいると非常に目立ちます。それができているのが松山工業でした。

 松山工業は、前半終了間際に先制するものの、後半、中京大中京の怒涛の攻撃に自陣ゴール前の混戦から同点弾を許し、結局PK戦で敗れてしまいました。しかし、最終ラインでボールを回しつつ、急にテンポを上げてサイド攻撃を仕掛けるなど、メリハリのあるプレーはすべて意図的で、観ていてとても楽しく好感が持てるチームでした。松山工業の谷監督は「ボールを動かしながら、自分たちより身体能力が高い相手にどう戦うか」ということを課題にチーム作りを行ってきたそうです。確かに個々の身体能力という点では、中京大中京のほうが高かったかもしれません。でも、後半、体力が落ちるまではじゅうぶん組織的な攻守を披露し、決定機を多く作っていたのは松山工業でした(失点後に足が止まってしまったのが残念!)。対戦相手に個人能力の面で不利でも勝てるのがサッカーの醍醐味のひとつ。その醍醐味を実現するうえで、ひとつのお手本となるチームの姿を観ました。

(2006年1月4日記 伊藤亮/写真=長濱耕樹)

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