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Vol,71 (全国高校サッカー取材記)2006年1月2日 埼玉スタジアム2002(05 Jan,2006)

2006年1月2日
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 第80回大会から会場となった埼玉スタジアム2002。日本代表の国際試合も多く行われる本格的な造りのスタジアムに鳴り響く応援歌。この日の対戦カードは浦和東(埼玉)VS.明徳義塾(高知)と東福岡(福岡)VS.遠野(岩手)の2試合。特に明徳義塾などは、野球も全国レベルだけあって、応援歌を聞いていてもどこか甲子園を思い出させます。またどの高校も選曲がシブい。いわゆる「定番モノ」(なぜか1980年代あたりの曲が多い気がするのですが)はいつまでも廃れないのでしょうか。そのちょっと古い空気と、埼玉スタジアムの近代的なデザインのギャップがまた独特の雰囲気を漂わせていて◎。「猪木のテーマ」がほとんど聞かれなくなったのが少し気になりますが……。

 さて試合のほうなのですが、1戦目に登場の浦和東は野崎監督いわく「特別待遇はない。他県から来た選手もいない」地元の選手で築かれたチーム。一方明徳義塾は、系列の中学校から上がってきた選手に、鹿島アントラーズや横浜F・マリノスのジュニアユース上がりの選手が中心。試合開始早々に明徳義塾が右サイドからのボールを押し込んで先制。このまま主導権を握るか、と思われましたが、チームとしての形がよりはっきりしていたのは浦和東でした。長い縦のロングボールでDFラインの裏を狙う、もしくは2トップがサイドに開いて2列目を飛び込ませる。攻撃の狙いが明確で、徐々にシュートまで結びつけるようになっていく。後半に入ると体力が落ちてきた相手におもしろいようにパスが通るようになり、終わってみれば6-1で大勝。よく「ボディーブローのように効いてくる」という表現がありますが、まさにその通りの展開。明徳義塾は、守備を修正するより攻撃に出る選手交代をして打ち合いに持っていこうとしたそうですが、この試合に限っては裏目に出てしまいました。「ほかのチームと同じことをやっていたら勝てない。内容的にはつまらないけど、勝つにはこうするしかないんです」と言っていた野崎監督。しかしその気持ちが、チームの輪郭をよりくっきりとさせ、全国に誇れる強みを得ているのもまた確かでしょう。

 2戦目は初戦を大勝した東福岡と、夏の高校総体で準優勝、前評判の高かった那覇西を破った遠野の対戦。東福岡は、両サイドがタッチラインの外で待ち構えているほどワイドな関係を保ち、徹底的なサイド攻撃で再三遠野ゴールに迫ります。遠野は自陣ゴール前を固めてのカウンター狙い。この試合、遠野の選手に3枚のイエローカードが出ましたが、ラフではありつつも泥臭いまでにボールに執着する姿勢が均衡したゲーム展開を生み出しました。「これまでのゲームでは、競って、紙一重で抜けていたプレーが止められてしまった。ボールを持っていてもリズムを狂わされていた」と試合後、東福岡の森重監督が振り返ったように、選手一人一人が球際の強さを発揮した遠野。後半30分には、カウンターのボールを菊地選手が一人で持ち込み豪快なミドルシュートを決めて先制。菊地選手は、初戦の那覇西戦でも先制ゴールを決めているストライカー。思い切りのよいドリブルと迷いのないシュートは、見ていて気持ちのいいプレーでした。東福岡は崩しまではできても、フィニッシュで「ポイントがあっていなかった」(森重監督)ために完封負け。しかし、ピッチを効率的に使うチームプレーは意思統一がなされていて非常にスマートな印象を与えてくれました。
いいプレーをしていても勝てるとは限らない、ちょっとしたきっかけで思わぬ差が開いてしまう。試合後、敗退して号泣している高校の選手を見ていると、一発勝負のトーナメント戦である高校サッカーの非情さが伝わってきます。最後まで笑っていられるのは、全国3938校のうちたった1校。そう考えると、ちょっと古めの応援がどことなく哀愁を漂わせているように感じられてきました。

(2006年1月4日記 伊藤亮/写真 長濱耕樹)

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