『夜宵』
著者:柴村仁/Illustration:六七質(むなしち)
全てが手に入る場所で彼が唯一手に入れられなかったもの。
一番大切なものが奪われる。人間の欲望渦巻く異形の<市>で紡がれる、連作幻惑ミステリ。
『夜宵』
著者:柴村仁
Illustration:六七質
定価:1,575円(税込)

大晦日までの僅かな期間にだけ立つ「細蟹(ささがに)の市」。そこで手に入らないものはないという。
ある者は薬を。ある者は行方不明の少女を。ある者はこの世ならぬ色を求めて、細蟹の市へと迷い込む。
異形の者たちが跋扈(ばっこ)する市で、市守りのサザが助けたのは記憶を喪った身元不明の少年・カンナだった。呪われた双子の少女は唄う。「ああ、不吉だ、不吉だ」「おまえがもたらす流れ、その循環は、混沌を呼ぶわ」……

東西、東西。
一座高うはござりまするが、御免蒙りまして、口上を以て申し上げ奉りまする。
ここもと御覧にいれまするは、夜宵と呼ばれる淵、そのそばにたまゆら現れ立つ、とある〈市〉の物語。〈市〉に蠢く異形の者、〈市〉で商われる怪しげな品々、〈市〉に囚われた者たちの奇妙な縁、すべてがこんがらがって入り乱れ、ぐっちゃぐちゃにかき混ぜられて、咲いては枯れる万華鏡のごとき幻惑譚。真ッ黒い闇の中、あるいは赤い提灯のあかりの中、何が出るやら消えるやら、何がウソやらホントやら。皆々様御自身の御目で確かめていただければと存じ上げる次第でござります。
相著しましたるは不肖柴村仁でござります。なにぶん未熟の者のいたすこと、御目にまだるきところもあろうかとは存じまするが、御笑覧いただければ光栄の至りでござります。

第10回電撃ゲーム小説大賞金賞を受賞し、受賞作の『我が家のお稲荷さま。』でデビュー。
近著に『プシュケの涙』などの由良三部作(メディアワークス文庫)、『おーい! キソ会長』などキソ会長シリーズ(徳間文庫)がある。

青森県出身、東京都在住。AB型。
2008年よりフリーイラストレーターとして活動中。PSPゲーム『最後の約束の物語』(イメージエポック)の背景デザインを務め、『背景イラストの描き方―デジタル編―(コミックス・ドロウイングブック)』(誠文堂新光社)に寄稿。